達人と言われる人たちが、なぜあんなにも簡単に相手を崩せるのか? 合気道家なら誰しも、その秘密を知りたいと思うでしょうが、その大前提は、地道な稽古を通じた自分自身の身体意識の高まりです。まだまだ試行錯誤、探求の途上です。
居着きと脱力の探求②合気すれば相手はついてくる(後両手取り)
相手が自分の手首を追いかけ、勝手に崩れてくれる稽古をしても、本当の体捌きは身につきません。一番厳しい体勢でがっちり持たれても、まったく関係なく捌く。そのためには、合気した瞬間に脱力して相手が自然についてきてくれる状態を作り出します。
居着きと脱力の探求①接点で争わない体捌き(片手取り・両手取り)
合気道において、大切なことはすべて、心身内部で起きています。見かけ上のパフォーマンスでは決して見えない、相手の居着きを生み出す仙骨・下丹田からの動き、そして相手を居着かせてからの脱力による捌き。力という概念が根本的に覆る、奥深い合気道の世界を探求する旅を続けましょう。
四方投げは八方切りで捌くのが肝
四方投げで相手の手首を痛めつけるのは、根本的な術理が間違っています。八方切りのように心身を柔らかく使い、360度どの方向にも対応して円の動きで捌くのが四方投げの基本です。
黒帯からのぶつからない崩し(諸手取り合気下げ・呼吸法)
目に見える動きや、腕の筋肉を駆使すれば、相手にすぐに感知されます。しかし、身体内部からの崩しは、力の出所が分からず、相手の脳を騙します。合気下げは、これを学ぶための稽古です。そこで学ぶ身体感覚を、様々な場面で応用します。
黒帯からの呼吸力探求(正面打ち入身投げ)
人は生涯で6億回以上呼吸すると言われ、驚異的な持続力、何十キロもある上半身を楽々と動かす根源的なパワーを持っています。そして「息が合う」という言葉に象徴されるように、人は呼吸に感応します。呼吸力とはまさに生命力であり、生まれながらに誰もが持っている力です。
黒帯からの正面打ち一教(仙骨で捌く)
接点で相手を捌こうとすれば、それはすぐに相手に伝わり、反発・抵抗・かわしを惹起します。正面打ち一教の崩しは、仙骨と丹田の動きを、ただ腕を通じて伝えるだけ。これを呼吸法(心身の開け閉め)と連動させることで、ぶつからないパワーを産み出します。
正中線で剣のように捌く(交差取り一教)
剣と同様、合気道の捌きは身体の中心から発します。腕ではなく、あくまでも丹田を中心とした動きをいかに体得するのか。常に「上虚下実」が問われます。
正中線に相手の中心を落とし込む(交差取り二教)
仙骨を入れて相手を下に崩す瞬間と、楕円軌道を描いて相手の中心を自分の正中線に引き込んでいく瞬間をぴったり一致させることで、腕の力にはまったく関係なく相手を崩すことができます。
丹田の探求⑤上虚下実・相手を居着かせる体捌き(初心者教室)
手をどう動かすのかという意識を後景化させて「上虚」にし、身体意識の中心を丹田に置く「下実」の状態を常態化させる。そのためにこそ、型を覚え、そして型から解放されていく必要があります。